えっ、こんなことが!海外での犯罪と護身術について
事前準備
事前準備で未然に防げる率が一番上がる犯罪は「スリ」対策です。スリという犯罪を成功させてしまう一番の要因は、自分が自分の貴重品に対して不用心、そして、その管理にスキがあるからなのです。
簡単にできる事前対策として、まずはクレジットカード、パスポート、航空券などの貴重品のコピーは3部ずつ用意しましょう。そして、財布以外の自分の貴重品バッグの中に一枚、スーツケースなどの大きな荷物となるチェックインバゲッジに一枚、そして、サブバッグがある場合はそれにも一枚、つまり、自分の持ち歩く全てのバッグの中に一枚ずつ入れておきましょう。そして、それぞれの緊急連絡先はとっさの場合でもすぐに目に入るように太字で書き添えておくと、さらに実用性のあるものになります。
常に身につけている貴重品バッグに入れる財布は、頻繁に出し入れする現地の小金などを入れる物を一つ、一万円級の金額の大きいお札やクレジットカードを入れる財布を一つ、合計2つの財布を用意します。後者の財布はバッグの底の方、あるいは、バッグの中に仕分けのためのスペースがある場合その中に入れ、バッグを開けられるだけでは簡単に取り出せない状態にします。
バッグの内部に仕切りがたくさんある場合は、貴重品は外側の仕切りの中ではなく、できるだけ体に近い方の仕切りの中に入れます。そうすれば、万が一にもバッグを切り裂いての過激なスリに遭ってしまった場合でも切られている時にすぐ気がつく可能性が高いからです。
あと、過去ビジネスの御用で海外出張なさった方が、大金を持ち歩いているため警棒を用意していましたが、何かの事件が起こってしまった時も警棒は役に立つものとは言えません。警棒を使って歯向かったとしたら、犯人を怒らせて結果が悪くなるだけです。
警棒を持つのだったら、最近の小学生が持っている「非常ブザー」の方がずっと役に立つと思います。外国人に取って、あのブザーは全く未知なるものであり、突然にあの音を聞いた時は、驚きのあまり持っていた物を全て落としてしまうほどの反応を示しました。
現地での対策
現地での貴重品の持ち方として、あまりに周囲を警戒するあまり、いかにも大切な物が入っているように抱え込んで持ち運ぶことまでする必要はないのですが、常に体の前に持ち、可能な限り片手で触れているという状態を保つことが理想的です。
特にバスや電車などの混雑する場所では、立っている姿勢でも座っている姿勢でも常に手が触れているということがバッグを守るキーポイントとなるでしょう。
トイレでは鞄を外して用を足す場合は、ドアの裏側に付いている鞄掛けを使用しない方が良いです。常にトイレにいる清掃員が犯罪職人で、ドアの揺れや音により、利用者がドアにバッグを掛けた瞬間を狙っている場合があるからです。サイドまたは背後に鞄掛けがついて入ればよいのですが、ない場合は仕方ないので水槽タンクの上に置く、または掛けたままで用を足すなどの工夫が必要です。
その他、現地で使用できる携帯電話を自分で持っていない場合は、どうやって外部に電話をかけるのか、国内、国際電話の両方のかけ方を到着した時点で確認しておく必要があります。この時、ホテル内と外部では掛け方が違う場合が殆どです。外部で公衆電話を使用するにはコインとカードの両方が使用できる場合が多いのですが、コインを利用したのでは通話時間も所持金も限られ、いざという時にあまり役に立ちません。カードを購入しておく方が安全だと言えます。
自分の行動
これまでの例を読んでみて気がつく人も多いと思いますが、大麻や売春、アルコール、睡眠薬、空き巣やドロボウと言った犯罪は「何故そんな軽率な行動を取ったのか」と思える要素の大きい、被害者側にもかなりの落ち度があったために発生している問題が数多くあります。
ことに、売春関係の事件に関しては、売買の両方が違法であることを知りながら、その類の仕事をしている人たちを「買わなければ」「近づかなければ」決して起こるはずもない、欲望に負けた自分が100%悪い、自業自得の事件だと言えると思います。
恐喝やスリなどの事件も日中の街中で起こってしまったのならばいざ知らず、夜間に外出し酒場で酒を飲んでいる時や、ホテルに戻ろうとしたらというようなケースだったら、自業自得と思える要素はかなり高くなります。
窮屈で忙しい日本を離れて外国に滞在中、開放的な気分になったり、久しぶりに大いに羽目を外してみたくなる気持ちは誰でも同じですから大変よく分かります。ですが、先進諸外国を含め全ての国で、日本とは全く違う犯罪状況であり、その巧みな犯罪の手口は全く知る由もないということを忘れずに、節度のある行動を取るようにしましょう。
旅行前には外務省が公開している各国危険情報や、各国の在外国日本大使館の情報を必ずチェックし、少しでも現地の様子を把握することも予防策として大変参考になると思います。
海外での犯罪に対する考え方
在外国日本大使館に在留届を提出し、メールアドレスを報告すると、護身や自己警備に対しての注意を促す目的で、定期的、または大きな事件の発生直後に必ず警備班からメールでレポートが送信されてきます。それには現地の新聞よりも詳しい事件の詳細や日本人被害者の状況、また、都市部で犯罪に巻き込まれた日本人の最新ニュースなどが記載されています。
長期滞在をする者に取っては大変役に立つニュースばかりなのですが、その中でいつも、事件に巻き込まれるのは注意を怠った自分に非がある、事件が起こりそうな場所に近づく自分が悪いという自覚を与えるニュアンスの書き方がされ、「自分は自分自身で守る」という考えの元に生活することを大きく強調しています。
最近、タイのバンコクで発生し各地に飛び火したテロ活動による被害の映像を誰もが見たと思います。タイには日系の会社もたくさんあり、本当にたくさんの日本人が在住している上、旅行先としてもアジアで指折りの人気の地でもありました。それがある日突然テレビニュースで報道されたような大惨事が発生し、今、アジアで一番危険な都市の一つとなってしまったのです。
昨年2009年11月末に発生した西インドの中心都市、ムンバイのテロ事件も降って湧いたように突然発生し、たくさんの日本人が巻き込まれてしまいました。いずれの惨事も日本では考えられないような過激で暴力的な事件ばかりです。
これらは極端な例ですが、外国人の性格は日本人とは全く違っていて、怒った時や気分を害した時、どういう出方をするかも全く違っています。こういうことは犯罪に対してばかりではなく、仕事や生活全てにおいて言えることなので、これから外国がらみのビジネス取引を始めようと思っている方、また、既に始まっている方なども要注意です。どういうふうに日本人と違うか、常日頃探ってみることが必要とされると思います。
自分への戒め
誰だって楽しい思い出を作るために旅行に出かけるのに犯罪に巻き込まれるようなことになりたくありません。旅行に限らず、日本で生活しているときだって同じ気持ちです。ですが、犯罪というものは自分の意思とは関係なく、思いがけない場所で、思いがけない人からやってくるものです。
そんな突然の場面で「こういうこともあるかもしれない」と思っていたのと、全く考えもつかなかったというのでは、精神的ショックも対処へのスピードも変わって来ます。だから、数多くの自分の体験から、そして人の体験談から犯罪に対する幅広い知識を得て、自分の心の中に引き出しを作っておくことが大切なのです。
海外旅行ガイドブックなどを見ていると、その国の観光地別に宿や食事、見学スポットなどの説明が詳しくされていますが、読者からの投稿によりその場所で起こったトラブル例や、時には「こういう人に要注意」という警告までも記載されている場合があります。その手の実際の体験に基づく注意勧告は、現地を知らない旅行者に取ってこの上ない防犯手段となるはずです。
もし、万が一にも自分が何かのトラブルに遭ってしまうようなことがあったら、そのトラブルはどうして起こってしまったのか、自分に落ち度はなかったのかじっくりと考え、自分への戒めとすると同時に、その他の多くの旅行者が再度自分と同じ目に遭わないようにいろいろな方法で教えてあげることが必要です。
繰り返しますが、旅行者をターゲットに行われているような犯罪は、いつも同じことを繰り返している「犯罪職人」によるデイリーワークで、その悪質な仕事に対して地元の人の殆どは口を閉ざします。助けの手を差し伸べられるのは他でもない、あなただけなのです。